マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
顧問先である山梨県のリゾートマンション(築30年目・50戸弱)で先日通常総会が開催され、管理会社のリプレイスの議案が承認されました。
このマンションの歴史を紐解くと、現在の管理会社は3社目です。
分譲したデベロッパーに系列の管理会社がなかったため、最初の管理会社は独立系大手のN社でした。
当初は管理人が住み込み方式でしたが、リゾート用のため居住者が少なくチェックの目が行き届かないのをいいことに管理人が勤務をサボっていたことが露見して、管理会社に賠償請求するトラブルに発展しました。
その後、大手管理会社のM社に変わりましたが、2年前にM社からリゾート物件からの撤退を理由に解約の申し入れがあり、現在のA社を紹介されました。
A社はマンション周辺のエリアに特化したリゾート物件の仲介業がメインで、マンション管理業は副業的に行っているようです。
しかしながら、
そのA社に変わった後、このマンションの管理の「質」はガックリと下がったため、危機感を覚えた理事長さんが当社に相談するに至ったわけです。
「管理品質の低下」を示す具体的な状況は、以下の通りです。
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・管理人が住込み方式から通勤方式に変わったうえ、週3日・3時間/日に激減して業務対応力が下がったうえ、3人の交代制で責任者が不在。
・1年前以上に法定点検で指摘された避難器具や非常用照明器具の不具合について、修繕の対応がなされていない。
・契約書類、設備点検報告など組合資料の整理がまったくなされていない。
・総会議案書案や議事録の作成をはじめ、事務管理業務がすべて遅延するうえにまったく行き届かず、理事長の負担・ストレスは増える一方。
・フロント担当者が退職等でしばしば交代する。メール等の対応も横柄で、逆ギレされることも・・・
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建物自体は築30年目ながら高級感もあり、しっかりと修繕すれば十分維持できるハードウェアですが、ソフトウェアの運営管理がこう酷いと10数年後にはスラム化してしまうのではないかと感じました。
そのため、管理会社の変更(=リプレイス)を理事会に提案し、それをサポートすることになったのですが、そこからが苦労の始まりでした。
というのも、その立地条件が嫌われて、めぼしい管理会社に声をかけても悉く断られることになったからです。
結局、県内に営業所等のある管理会社を含めて計7社に打診しましたが、もともとリゾート物件を中心に管理していて、今は最大手の管理会社の傘下にいるM社1社だけから見積もりを取得することができました。
理事会からは、「もう1社見積もりを取れないのか」と不満の声が上がりましたが、「無い袖」は振れません・・。
なお、リプレイスの検討に際しては、区分所有者へのアンケートも実施のうえ、現状の管理仕様も見直しました。
まず、管理員業務の勤務時間については、現状の勤務時間(週3日・3時間/日)では居住者サービスが行き届かない等の不満が根強くあるため、週5日勤務に変更しました。
また、現状では、日常清掃は別途スタッフが派遣されていますが、これを勤務時間の増えた管理員に兼務させることにしました。
当マンションでは冬季における給水管の凍結防止のための閉栓作業が必要で、以前は住込みの管理人にお願いしていましたが、勤務時間の大幅な短縮で外部に委託せざるを得ない状況になっていました。
そのために、年間30万円以上の費用を委託費と別に負担していますが、これを日勤の管理員に勤務時間内で行うようM社に依頼しました。
また、エレベーター設備保守点検の委託先をメーカーから独立系保守業者に変更することによって、フルメンテナンス契約のままコスト削減を図ることができました。
その結果、管理員の勤務時間を大幅に増やすにもかかわらず、業務の統合や委託先の変更などによって、現状比で年間30万円強のコストアップで収めることができました。
実際に管理会社が変わるまで3ヶ月ほどありますが、しっかり引き継ぎを行ってもらい、組合運営を軌道に乗せるまでにはまだ顧問としてやるべき仕事はたくさんあるので、頑張りたいと思います。
<参考記事>
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