マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
日頃、マンション管理士として管理組合の理事さんたちからご相談を受けて話を伺っていると、決まって耳にする疑問や不安の声があります。
たいていの場合、それは管理委託契約や管理規約の内容をよくご存知ないために生じているものと思われます。
これらのご紹介と、実際に私がどのように回答させていただいているかをFAQ形式で以下に纏めてみました。
⇒ そのようなことはありません。
たいていの管理業者の場合、国交省が作成した標準管理委託契約に沿っており、契約期間が1~2年の場合がほとんどです。その場合、たとえ契約途中であっても、理由の如何に関わらず、管理組合が契約金額が不相応だと考えた場合は減額を要請できます。
したがって、仮に現行条件で契約を更改した直後でも、減額を要請することは可能です。
⇒ そのようなことはありません。
国交省の標準委託契約に準拠している場合、理由の如何に関わらず、3ヶ月前の書面による予告があればいつでも解約が可能です。
ただし、そのような意思決定を理事会決議で行うことはできません。かならず総会決議による承認(普通決議事項)が必要です。
⇒ それは定期(通常)総会のことですね。毎年1回は、新会計年度の開始から2~3ヶ月以内に開催することが必要(法的義務)です。
ただし、それ以外にも必要に応じて随時「臨時総会」を開催できます。原則として理事会の決議を経たうえで開催日の2週間前までに開催通知と議案書を全組合員に送付すればよいので、何も定期総会まで待つ必要はありません。
⇒ そのようなことがあり得ないとは言えません。
管理委託費は、価格と管理仕様の掛け算でグロス金額が決まります。単位当たりの価格がそのままでも、管理仕様(ex:清掃作業点検の頻度、管理人の勤務日数や時間)を落とせば、グロス金額も下がります。
ただし管理仕様が従来に比べて下がった場合、品質の悪化につながる可能性はあります。
なので大切なことは、管理委託費を適正化する前提として、まず今の管理仕様を維持したうえでどこまで価格を見直せるかにあります。
特にマンションの分譲会社の系列下にある管理会社に委託している場合には、市場価格に対して3割以上割高なケースが多いので、管理仕様を下げなくとも十分コストダウンできる余地はあります。
ただし、マンションの規模や立地環境などに対して現在の管理仕様が過剰、もしくは逆に不十分な場合もあるので、その場合は適宜仕様の見直しも行うことも必要です。
⇒ 管理会社もビジネスですから、管理委託費の減額で自らの収益が下がることを快く思うはずがありません。しかし、それで管理組合との関係が悪化することは基本的にはないと思います。なぜなら、現状の管理委託費がいかに割高な水準にあるかはプロである彼らが熟知しているからです。
しかし、それ以上に彼らが恐れていることは、リプレースです。解約になってしまったら二度と失地回復はできない可能性が高いので、減額に応じても経費利益が確保できれば良しと考えているはずです。また、然るべき経費利益すら得られないならば、自ら撤退を申し出ることでしょう。
一方、「関係の悪化」が、「担当者の業務怠慢」につながることを心配するのも理解できます。ただ、その場合は債務不履行として契約違反に当たるので、是正するよう管理会社に催告し、それでも改善が見られない場合には、リプレースを検討した方がよいかもしれません。
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