インフレのご時世でも、マンション管理委託費が3割削減できるワケ
2023/09/04
都内の顧問先のマンション(築15年目)で、来月臨時総会が行われることになりました。
議案は以下の2件です。
(1) 集合インターホンの更新工事実施の件
(2) 管理委託契約変更の件
実は、この2つの議案は表裏一体の関係にあるのです。
そもそもの発端は、昨秋からインターホンの不具合が頻発し始めたことにあります。
そのため、このマンション全体の機械警備(遠隔監視)を受託している大手警備会社が集合インターホンの更新を提案してきました。
ここで、ひとつ素朴な疑問が生じますね。
なぜ警備会社がインターホンの更新を提案してくるのでしょうか?
それは、マンション竣工時に設置された集合インターホン一式が、警備会社からOEM供給された製品だからです。
実はこのマンションでは、リプレイスで管理会社が昨年変わったばかりです。
その際に、管理委託費が全体として従前比15%下がったのですが、警備委託費についてはまったく下がりませんでした。
管理委託契約書には、機械警備の業務内容として、以下のような仕様が記載されています。
■ 共用部の各種設備の異常信号の受信と緊急対応
■ 専有住戸内の非常通報、火災警報、侵入情報の受信と緊急対応
(いわゆるホームセキュリティ業務)
この警備費用が管理会社をリプレイスしても下がらなかったのは、再委託先である警備会社の変更が事実上できなかったからです。
このマンションにおけるホームセキュリティでは、
警備会社が住戸毎に個別に異常信号を監視できる仕様になっています。
しかし、警備会社を変更すると、その仕様を維持できないことがわかりました。
それは、警備会社がOEMで販売した集合インターホンに、同業他社では個別に信号を受信できないような構造になっているからです。
そのため、警備会社のリプレイスがしにくいという「弱み」から、委託費減額を要請しても受け入れてもらえないという事情があったのです。
ところが、
ここで管理組合にとって「千載一遇」のチャンスが巡ってきました。
集合インターホン設備をメーカーから直接購入のうえリニューアルすれば、警備委託先のリプレイスが可能になり、競争原理を導入できるからです。
この「カラクリ」を理事会に説明したところ、
インターホンと警備会社の相見積もりを同時進行で進めようということになりました。
その結果、機械警備の委託費が現状比で4割以上下がることがわかったため、警備会社をリプレイスする方向でほぼ決まりそうな状況になりました。
しかし、ここで思わぬ展開が起きました。
管理組合の動きを知った現在の警備会社が、土壇場になって驚くべき提案をしてきたのです。
その提案とは、現状と同じ仕様のまま委託費を半額にするというものでした。
これを知った同業他社は、「さすがにこれ以上は無理です・・」とギブアップしてしまいました・・。
管理組合としては、15年に一度しかないインターホンの更新機会を最大限に活用することができたので、まさに「してやったり」という気分だったでしょう。
また、機械警備費も定価の半額にしてもなお利益の出るビジネスモデルだったことが図らずも明らかになったわけで、警備会社もマンション管理会社と同様だと考えた方が良さそうです。
ちなみに、このマンションでは、機械警備と同様に競争原理の導入で
インターホンの工事費も修繕計画比4割ダウンで発注できることになり、数百万円もの節約ができました。
めでたし、めでたし!
<参考記事>
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