5年ぶりの「マンション総合調査」結果でギモンに思ったこと

去る4月26日に、国交省より「平成30年度マンション総合調査」の結果が公表されていましたので、その内容についてご紹介します。

 

 (1)アンケートデータの収集方法と対象

■ データ収集の手法:アンケート調査
■ 対象地域     : 全国
■ 調査実施期間   : 平成30年11月~12月
■ 収集データ数   : 4,200 管理組合  8,400 区分所有者

 

(2)サマリー

1)世帯主の年齢
・「60 歳代」が 27.0%と最も多く、次いで「50 歳代」が 24.3%、「70 歳代」が 19.3%、「40 歳代」が 18.9%。

・30 歳代以下は減少する一方で、70 歳代以上は増加しており、着実に高齢化が進行している

 

2)賃貸住戸・空室戸数

・築年数の増加とともに賃貸住戸・空室数も増加

 

3)所在不明・連絡先不通の戸数割合(新規調査項目)
・昨今注目されている「所有者不明問題」に対応すべく創設?

「 20%超」( 2.2%)

4)永住意識
「永住するつもりである」: 62.8%

・永住志向の割合が着実に上昇している。

5)管理規約の改正状況
・改正したことがある: 88.5%

 

6)戸当たり管理費・修繕積立金
・戸当たりの管理費の平均 :月額 15,956 円(駐車場使用料等の充当額含む)
・駐車場使用料等からの充当額を除いた場合:月額10,862 円

・戸当たり修繕積立金の平均:月額12,268 円(駐車場使用料等の充当額を含む)
・駐車場使用料等からの充当額を除いた場合:月額 11,243 円

 

7) 管理事務の実施状況
「管理事務の全てをマンション管理業者に委託」: 74.1%
「分譲時に分譲業者が提示したマンション管理業者である」: 73.1%

 

8) マンション管理業者のサービスとして希望するもの(新規調査項目)
「専有住戸内で発生した水回り、鍵、電気などトラブルへの緊急対応」: 66.9%

 

9) 管理状況全般の満足度
「非常に満足」(24.9%)「やや満足」(37.9%)の合計で6割超

<満足の理由>

「マンション管理業者が良い」( 68.8%)、「管理員が良い」( 52.4%)

「管理組合役員が熱心」 ( 34.8%)

<不満の理由>

「一部の居住者の協力が得られにくい」( 48.5%)

「マンション管理業者が良くない」(28.7%)

「管理組合役員が不慣れ」( 26.3%)

 

10) 現在の修繕積立金の積立方式(新規調査項目)
・均等積立方式( 41.4%)段階増額積立方式( 43.4%)

 

11) 修繕積立金の積立状況(新規調査項目)
現在の積立額が計画 に比べて不足:34.8%
不足がある割合が20%超のマンション:15.5%

 

12) 総会への出席状況
直近の通常総会への出席割合:82.1% (委任状及び議決権行使書提出者を含む)
実際の出席割合の平均   : 32.9% 

 

13) 役員報酬の支払い状況
「報酬は支払ってない」: 73.3% 「役員全員に報酬を支払う」: 23.1%
各役員一律の場合の報酬額平均:約 3,900 円/月。
一律でない場合の理事長の報酬平均額:約 9,500 円/月

 

14) 理事会の開催状況
「月に1回程度」:36.5%、次いで「2ヶ月に1回程度」が 25.4%。

 

15) 組合員名簿等の作成及び閲覧状況
「組合員名簿及び居住者名簿がある」: 77.3%

「いずれもない」: 6.6%

16) 大規模災害への対応状況
「定期的に防災訓練を実施」: 44.1%

 

17) 専門家の活用状況
「専門家を活用したことがある」: 41.8%
「建築士」(15.6%)「弁護士」( 15.2%)「マンション管理士」(13.0%)

 

18) 外部役員を選任する意向・理由(新規調査項目)
「外部役員の選任を検討又は必要となれば検討したい」28.3%

<理由>

「区分所有者の高齢化」( 37.6%)「役員のなり手不足」( 36.5%)

19) トラブルの発生状況
「居住者間の行為、マナー」( 55.9%):生活音、違法駐車

「建物の不具合」( 31.1%):水漏れ、雨漏り

「管理費等の滞納」( 23.9%):「3ヶ月以上の滞納住戸あり」 24.8%

 

20) 管理に関して取り組むべき課題
「防災対策」 33.6%、「長期修繕計画の作成又は見直し」 32.0%

「修繕積立金の積立金額の見直し」 28.9%

 

21)管理組合運営における将来への不安
「区分所有者の高齢化」( 53.1%)「居住者の高齢化」( 44.3%)

 

まず、アンケートのデータとしての有効性を確認しておきたいと思います。

 

現在の全国分譲マンションのストックは約644万戸(2017年末時点)です。

 

マンション管理業協会によると、登録会員である管理会社の受託戸数(約590万戸)は棟数ベースで約11万棟におよぶとのことですから、ストック総数に換算すると約12万棟になると推定できます。(下記サイトページ参照)

 

www.kanrikyo.or.jp

総数約12万棟に対して調査によって収集できた管理組合数は4,200ですから、団地管理組合の存在を考慮しても、せいぜい4〜5%程度の収集率にすぎないことになります。

 

そして、これはあくまで推定に過ぎませんが、アンケートに回答している管理組合は役員の意識が高く、その結果優れた組合運営をしている可能性が高いと思われるということです。

 

その一端が伺えるのが、上記10)11)の修繕積立金に関する回答結果です。

 

「均等積立方式にもとづいて徴収」していると回答した割合が、なんと4割を超えています。

 

これまで多くの管理組合をコンサルティングしてきた実感からすると、ちょっと考えられないほどです。

 

実態としては、せいぜい全体の1割程度、どれだけ多くても2割未満でしょう。

 

さらに、「現在の積立額が長期修繕計画に比べて不足している」と回答した割合がたった3割強にすぎない点にも大きな違和感があります。(下記記事参照)

 

www.nikkei.com

つまり、本調査の結果は、マンション管理組合の上位数%を対象としたもので、これを管理組合全体の実態を反映していると考えるとミスリードしかねないということです。

 

とはいえ、ご自身の管理組合を運営するための「指針」として参考するために活用されるならば問題はありませんし、むしろ有益です。

 

管理組合の抱える悩みや課題については、おおむね実態を反映していると思われるからです。

 

ただ、統計データとしてのボリュームや回答者の特性については、十分ご留意ください。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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