マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
神奈川県内にある築7年目のマンション理事会での話。
この管理組合で長期修繕計画が昨年更新となったことに伴い、管理会社から修繕積立金の改定プランについて提案がなされています。
A・B・Cの通りの案が提示されているが、A・Bの2つのプランはいずれも今後も経年的に負担が増える「段階増額方式」であり、かつ大規模修繕実施の際には一時金の負担が必要になります。
一方、プランCは今年中に現状の負担(月額1万円強)を3倍に一気に引き上げる代わりに、今後さらなる増額や一時金の負担は回避できるというものです。
ここで、理事長さんが管理会社に質問をしました。
「修繕積立金を上げない選択をした場合、必要な修繕ができなかったり、大規模修繕の際などに多額の一時金を徴収されるリスクがあるというのは分かる。」
「それでは、修繕積立金を増額した場合にはどのようなデメリットが考えられるか?」
管理会社(売主の大手デベロッパー系列)の担当者はこう答えました。
「中古マンションとして売却する際に、買主の購入意欲が下がる可能性があります。」
出ました!
この回答こそ、新築マンションの修繕積立金が安い理由なのです。
新築マンションにおける修繕積立金の平均(㎡あたりの月額95円強 ※2011年リクルート調べ)は、均等積立方式を想定した必要な金額として国交省が示している金額(㎡あたり月額200円前後 ※機械式駐車場の修繕・設備更新費を除く)の半分以下にとどまっています。(修繕積立金ガイドライン参照)
そのため、ほとんどの分譲マンションでは、修繕積立金の徴収を段階的に増額しながら修繕に必要な資金を賄う計画になっています(下図参照)。
いずれ積立金が足らなくなって増額しなくてはならないことは百も承知なのに、なぜ世の中の新築マンションは揃いも揃って必要十分な金額で設定しないのか?
ほら、管理会社の回答と全く同じですよ。
「買主の購入意欲が下がるから。」
つまり、マンションデベロッパーはマンションの販売価格をなるべく高く維持するために、修繕積立金は「わざと低めに」設定しているのです。
これこそ、マンション購入者に仕掛けられた「最大の罠」でしょう。
ここでひとつ疑問が残るかもしれません。
「それじゃ、管理費も安く設定しているの?」……と。
残念ながら、それは違います。むしろ逆で、管理費は十分高めに設定されています。
なぜかといえば、
売主のデベロッパーがマンションの分譲で儲けたあとは、系列の管理会社が競争なく管理組合から管理を受託するビジネスモデルになっているからです。
「分譲と管理の両方で儲けるのは当然。できれば大規模修繕工事もね!」がデベロッパーの本音なのです。
だから、一見スリム(適正)に見える管理費は「隠れメタボ」になっていて、逆に下げる余地がある、ということ。
それでは、最初の話に戻って
この修繕積立金の増額問題、どうやって解決すればよいのでしょうか?
その答えは、noteの記事「修繕積立金の「簿外債務」を減らす2つの処方箋」にタップリと書いてありますので、そちらを読んでみてください。
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