マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
ARUHIマガジンに、「マンションの管理費・修繕積立金の目安は? 特に注意したい修繕積立金の額の妥当性」と題した記事が掲載されています。
<参考記事>
本記事の要約は以下のとおりです。
▪️マイホームでは、住む期間に応じた維持費がかかる。マンションを購入した場合は、住宅ローンに加えて管理費や修繕積立金を負担していくことになるので、家計に無理がないかあらかじめ確認しておく必要がある。この管理費や修繕積立金について、それぞれ目安はどのくらいなのだろうか?
▪️管理費は、管理員の人件費や共用部分の清掃費用、植栽費用、法定点検費用などに充当される。管理費の金額に最も影響を与えるのが、「管理員の勤務時間」で、24時間常駐あるいは日勤かなどによって大きく変わるが、その平均額は首都圏が最も高く、戸当たりで1万2000円台が目安になる。
▪️一方、管理費よりもマンションによって違いが出やすいのが、修繕積立金。共用施設である建物や設備のメンテナンスにかかる費用を積み立てるため、管理組合は将来の修繕費を試算した「長期修繕計画」を定期的に作成する。
▪️原則としてその長期修繕計画にもとづいた必要な資金を全戸で月々積み立てることになる。しかしながら、修繕積立金の設定方法が特に決まっていなかったため、新築時には修繕積立金の額を抑えて設定していた。
▪️そのため、国交省は、2005年に「マンション管理標準指針」を策定し、中古マンションは25年以上、新築マンションは30年以上の長期修繕計画を立て、その必要額を負担割合に応じた修繕積立金の額に設定するよう示している。
▪️ただ、最近の新築マンションでは「均等積立方式」ではなく「段階増額積立方式」を採用する事例が増えている。そのため、修繕積立金は最終的には値上げが前提の金額ということを覚えておく必要がある。
▪️では、修繕積立金の目安はどのくらいか。国交省の調査結果では、全国の平均額が戸当たり1万1,243円(平方メートル当たり164円)、首都圏の平均額は戸当たり1万3,019円(平方メートル当たり196円)である。
▪️修繕積立金の額については、新築マンションの購入予定者が購入予定マンションの修繕積立金の額の妥当性を見る目安とするために、国交省が2011年に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を策定している。
▪️このガイドラインは、実際に長期修繕計画作成ガイドラインに沿って計画された修繕積立金の事例を分析して、均等積立方式で算出した額を示して目安とするという考え方をしている。
▪️また、機械式駐車場がある場合は、その有無によって修繕見込み額が変わるため、機械式駐車場の1台当たりの修繕工事費を算出した額を加算する方法を取っている。
▪️中古マンションを買う際にも、適正な水準の修繕積立金を額を積み立てているかを確認することがとても重要になる。場合によっては、購入後すぐに不足する修繕費を補うために全戸で「修繕一時金」を集めるというケースもある。
▪️そのためには、長期修繕計画どおりの金額で修繕積立金が集められているか、今後修繕積立金に値上げの予定はないかなどをきちんと理解して、買うべきマンションかどうかを見極めることが大切になる。
まず、本記事を読んで引っかかったのは、
「最近の新築マンションでは「均等積立方式」ではなく「段階増額積立方式」を採用する事例が増えている」という箇所です。
これは「最近」だけの傾向ではありません。
20世紀の頃から修繕積立金の水準は、本来必要な水準に比べると非常に低い金額で設定されています。
私が92年に購入した、大手デベロッパーが分譲した3LDKの新築マンションは、
当時の月額でなんと1,500円弱でした。
1平方メートル当たりの単価に換算すると、たったの22円!
当時徴収されていた管理費と比較すると、およそ10分の1の水準です。
当時、マンション管理についてはまったくの素人でしたが、
「やけに安いなぁ」と感じた記憶が残っています。
ただ、その当時から比べると、最近は「マシ」なレベルに変化してきました。
<デベロッパーも国交省も、さすがに管理費の1割の水準ではヤバイと思ったのでしょう・・>
本記事にも紹介されている国交省の修繕積立金ガイドラインの概要にも参考となるデータが下記の通り示されています
つまり、(今から12年前のデータですが・・)新築マンションの修繕積立金平均値は、1平方メートル当たりの月額単価はおよそ95円だったというわけです。
ほとんどの新築マンションは、今も概ねその水準で設定されています。
一方、そのマンションの規模にかかわらず、均等積立方式を前提に徴収する場合、必要な修繕積立金は1平方メートル当たりの月額単価は200円とされています。(下表参照)
なお、修繕積立金の水準が妥当かを考える場合に、住戸単位のグロス金額で論じてもまったく意味がありません。
なぜなら、同じマンション内でも各住戸の専有面積が異なるのが普通だからです。また、各住戸間の負担の衡平性を担保するため、専有面積当たりの単価は一律で設定されています。
そのため、本記事では専有面積1平方メートルあたりの単価で説明します。
【「修繕積立金ガイドライン」の抜粋 その1】
つまり、「均等積立方式」で必要な水準と比べると、新築マンションはいまだにその半分以下で徴収していることがわかります。
ということは、
30年間で資金収支の帳尻を合わせようとすると、最終的には新築時の4倍以上に引き上げる必要がありそうだということは小学生でも予測できますね。
ただ、ここで注意すべきポイントがあります。
上の表で示された目安の金額は、あくまで建物本体と外構部分を対象としたものです。
マンションの場合、狭い敷地に十分な台数の駐車場を確保しようとして、3段式などの立駐機を導入するのが一般的です。
この機械式駐車場の修繕費は思いのほか高くつくので、上記の単価(概ね200円)とは「別枠」で加算しなくてはならないのです。
しかも、駐車設備の種類によってその金額も異なります。(下表参照)
【「修繕積立金ガイドライン」の抜粋 その2】
実際に加算額がいくらになるかを確認するため、
3段昇降横行式と2段昇降式の2種類の機械式駐車場が附設されたマンションを例に、上記ガイドラインにしたがって試算してみます。
(1)3段昇降横行式:パレット数24台分
8,540円 × 24 = 204,960円 ー<イ>
(2)2段昇降式 :パレット数 8台分
7,085円 × 8 = 56,680円 ー<ロ>
<イ> + <ロ> = 261,640円/月 ー<ハ>
ただ、<ハ>はマンション全体の修繕費ですから、これを1平方メートル当たりの単価に換算します。
その場合に必要なデータが、各住戸の専有面積の合計です。
<貴方のマンションの「管理規約」に添付されている各住戸の専有面積の表で確認することができます。>
仮に、このマンションの専有面積が3,000㎡とすると、加算すべき修繕積立金は以下の通りになります。
261,640円/月 ÷ 3,000 ≒ 87円/㎡
建物本体の修繕積立金の目安(A)が218円(延床面積5,000㎡未満の平均値)とすると、このマンションにおける適正な修繕積立金の水準は以下の通りとなります。
218円 + 87円 = 305 円/㎡
機械式駐車場があるために、必要な修繕積立金は建物本体分の5割アップになることがわかります。
要するに、住戸数に対する機械式駐車場の附置率が高いほど、加算すべき金額が増えてしまうわけです。
このブログを参考に、
あなたの自宅マンションに必要な修繕積立金を試算してみてください。
そして、現在徴収されている修繕積立金を自宅の専有面積で割れば現状の単価も分かりますから、両者を比較してみましょう。
もし現状の修繕積立金が、ガイドラインの半分以下の水準なら余裕で赤信号です!
<参考記事>
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