「管理委託費の適正化」と「コスト削減」は同じではありません

管理委託費の減額をめぐって、現在管理会社と交渉中のマンションがあります。

管理組合からの減額要請に対する一次回答の結果は、現状比9%ダウンに止まりました。

これに対して当社からは、

・エレベーターや駐車場等の設備保守管理費用がおしなべて市場価格より高いこと。

・管理会社が理事会や総会運営をサポートする事務管理の費用も、独立系管理会社の水準を比較するとかなり割高なこと。

・管理会社の回答結果は、適正金額よりも総額ベースで2割程度高いこと

を伝えました。

また、今回の見直しは委託金額の適正化が目的のため、少なくとも現時点では管理会社のリプレースまで念頭にないことも併せて伝えました。

 

その2週間後・・・。

管理会社から二次回答として提示された金額は、現状比3割弱のダウンでした。

当社の査定金額とほぼ同額と言ってよい水準です。

管理会社の説明としては、

「今後も管理組合との長い付き合いをしていきたいという想いから、今回特別な金額として提示させていただいた。」ということです。

コンサルタントとしては、査定通りの結果にとりあえず安堵したわけですが、組合の理事さんたちは意外な反応でした。

何名かの方が管理会社に質問したのですが、最も多かったのは「こんなに下げてもらって驚いたが、品質は下がることはないのか?」というものでした。

当然のことですが、管理会社は「大丈夫です。現状の仕様は変わりませんので、どうぞご安心ください。」と答えます。

管理組合には事前に当社の査定金額をすでに提示していたにもかかわらず、それが本当に実現するとなると今度は「安かろう悪かろう」になるのではないか? と不安になったようです。

私からは「3割も下がったので驚かれるのも無理はありませんが、市場価格として適正な水準になったものとご理解ください。」と申し上げましたが、まだ半信半疑の理事さんもいらっしゃいました。

管理組合に対するコンサルティング業務の説明の際、「コストを削減する」とは言いません。「管理コスト適正化」をサポートする、と伝えています。

「管理コストの適正化」という目的を達成することで、「大幅なコスト削減」という果実を手にするのが王道です。

コスト削減はあくまで結果であって、目的ではありません。

単にコスト削減するのが目的なら、他にも方法はあります。最も容易な手段は、管理仕様を変更することです。

たとえば、清掃や設備点検の実施回数を減らせば、コストは確実に下がります。

<管理組合が管理会社にコスト削減を要請した際に、ありがちな提案です。>

でもそれでは、意味がありませんね。まさに「安かろう、悪かろう」です。何より、管理会社の利益率が高止まりのままです。

過剰な仕様設定は当然見直すべきはありますが、まずは現状の仕様でどこまで価格を適正化できるか? 管理会社の不当に高いマージンをどこまでトリミングできるか? それが管理見直しの「一丁目一番地」です。

このマンションでは、現状の仕様を変えずに一定の成果を出すことができました。

でも、まだ完全な適正化には至っていません。現状の管理仕様にまだ見直しの余地があるからです。

過剰と考えられる現状の管理仕様にメスを入れるプランで、管理組合内のコンセンサスを得られるのか?コンサルタントとしての腕が問われるところです。

最後にどのような成果を出せるのか、楽しみです。


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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