マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
昨日、現在コンサル中のマンション(34戸)の理事会で、管理コスト適正化診断の結果を報告しました。
当社の場合、まず管理組合の財政状況について以下の項目を診断します。
(1)管理費会計の収支バランスが適正か?
(2)修繕積立金会計の「簿外債務」がないか?
(2)は、マンションの長期修繕計画で見込まれる今後30年間の資金需要に対して
現在の剰余金残高と現在徴収している修繕積立金の横伸ばしの合計で賄えるのかをチェックします。
分譲マンションの場合、新築当初の修繕積立金の設定水準がおしなべて低いため、ほとんどの管理組合はこの(2)でひっかかってしまいます。
しかしながら、このマンションで管理会社が作成した長期修繕計画をもとにチェックしたところ、下記の通り資金収支面では一見何ら問題がない状況でした。
■ 現状の繰越剰余金残高 :約 40百万円
■ 現在の徴収額の横伸ばし(30年):約168百万円
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上記合計:約208百万円
■ 長計上の修繕見込み額(30年計):約162百万円
その結果、計画最終年度では約36百万円資金余剰が生じる見通しとなっています。
ただ、現状の徴収額は国交省のガイドラインすら下回っているため、
不思議に思いさらに細かく調べてみると、2つの「欠陥」が見つかりました。
<欠陥 その1> 消費税分が加算されていない!
管理会社に確認したところ、計画上の資金には消費税(10%)が含まれていないことがわかりました。
<欠陥 その2> 機械式駐車場の修繕費が加算されていない!
このマンションには14台分の機械式駐車場がありますが、この設備の修繕見込み額がすっぽり抜けていることがわかりました。
このマンションの場合、管理会社の受託業務に駐車場設備の保守が含まれていないとはいえ、建物全体の長計に当該修繕コストを加算していないのは明らかな「ミス」です。
そのため、駐車場の保守委託先から概算で修繕コストの見込額をヒヤリングしたところ、30年間で47百万円(税別)かかることがわかりました。
こうした齟齬を解消するために元の金額に加算調整したところ、このマンションで必要な修繕資金は、168百万円 → 230百万円に増加しました。(現状比+37%)
その結果、修正後の資金収支は、逆に22百万円の赤字となることがわかりました。
ただ幸いにも、このマンションの場合、割高な管理委託費を適正化することで管理費会計の剰余金を増やすことができ、この資金不足分をほぼほぼカバーできそうなことがわかりました。
そのため、今後管理会社との条件交渉を含めて引き続き、当社がサポートさせていただくことになりました。
あなたのマンションの長期修繕計画は大丈夫ですか?
<参考記事>
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