役員改選は、マンション管理組合共通の悩みのタネ

管理組合の定期総会の恒例の議案として、「理事会役員の改選」があります。

多くの管理組合では「役員の輪番リスト」があり、原則としてそれにもとづき毎年の定期総会で候補者が挙げられ、反対もなくそのまま承認されることになります。

その後初回の理事会で、「互選」(話し合いのほか、クジ引き、ジャンケンを含む)の結果、理事長をはじめ各役職が割り当てられます。

話し合いでは、やはり理事長を誰がやるかで紛糾することが多いですね。

理事長職が忌避される理由は、

1)管理のことがわからないから判断できない

2)理事会を欠席できないプレッシャーがある

3)押印が必要な書類が多くて面倒だ

4)総会の議長をやりたくない

5)責任者としてのプレッシャーが大きい

といったところでしょうか。

確かに、理事長職は重要なので責任も軽くはないのですが、ご自分の資産の管理を

他のやる気のない人に任せることの方がむしろリスキーな気がします。

顧問先のある管理組合では、理事会運営を実質的に仕切る2名の方がおられ、「常任理事」のようになっています。

ただ、役員4人枠のうち常にその2名が占めるのは好ましくないと考えたようで、今年の定期総会では、立候補枠分として役員の定員数を2名増やすよう管理規約を改正しました。

つまり、「常任理事」2名と輪番で毎年交代になる役員(4名)で運営していく体制に改めたのです。

ちなみに、「常任理事」の2人は理事長になる意思はなく、輪番役員の誰かになってもらうよう他の役員を説得します。

そこには、理事長の経験者数を増やすことで組合運営の苦労や必要な知識をなるべく多くの組合員に共有してもらいたいという想いがあるようです。

マンション管理士として私が理事会をサポートしていますが、彼らには「理事会の運営そのものは人任せにしたくない」という意志が感じられ、むしろ好感を持ちました。

管理の専門知識や情報に乏しい部分は、マンション管理士などの専門家に頼って貰えばよいですが、必要な知見さえ得られれば最後は理事会自身で判断もできるでしょうし、精神的な負担も軽減されるはずです。

「分からない」「面倒くさい」「責任が重い」「誰かがやればいい」という考えだけでは、自分の大切な資産を守ることはできません

組合役員だけでは解決できない事案は信頼できる専門家に依頼して知見を集め、自分たちで判断できることを確実に執行していくという姿勢が大切だと思います。


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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