マンション管理組合に管理会社のリプレイスを勧めたワケ
2025/02/10
3月14日付けで、「マンション管理適正化の方針」ならびに「マンション標準管理規約」の改正が国交省から告示されました。
管理規約といえば、管理組合の「憲法」というべき存在。
それが約5年ぶりに改正されたのです。
改正項目はいくつかありますが、注目すべき「目玉」は2つです。
ひとつは、「外部専門家の活用」です。
これまでの標準規約では、理事長などの組合役員の資格要件を少なくとも組合員(=区分所有者)に限定してきました。
しかしながら、老朽化ストックの増加に伴い、大規模修繕や建替え等の難題に直面するほか、区分所有者の高齢化、賃貸化、空室化の進行で運営に窮する組合が増えています。
その結果、管理不全に陥り必要な修繕も施されず、防災・防犯上のリスクが高まっている事例も見られます。
今後も首都圏を中心に老朽化マンションが大幅に増えることが見込まれていることから、マンション管理士、弁護士などの外部専門家が理事長などの役員に就任することで管理組合を適正に運営できる選択肢を新たに設けた、というわけです。
もともと区分所有法では、区分所有者以外の外部の人間が「管理者」(≒理事長)になることはできます。したがって、管理規約を改正さえすればどんな管理組合もそれは可能なのです。
しかしながら、わが国の分譲マンションでは基本的に「区分所有者自治主義」が長年の間管理組合運営の基本理念を形成していたため、外部の人間が組合の役員に就くことは極めて稀なケースであったのです。
今回の改正では、全国の管理組合が自らの規約を制定・改正する際に参考とする「標準規約」の中に、いわば「理事会運営の外注化」とも解釈できる選択肢が明記されたわけですから、「パラダイムの転換」っても過言ではないかもしれません。
ただし、行き過ぎた外注化が「丸投げ」にならないよう、利益相反取引等を防止するための監督・監視の仕組みも別途整備することも必要になります。
今回改正の注目テーマの2つめは、「コミュニティ条項の再整理」です。
当初は、現在「管理組合の業務」として明記されている「コミュニティ形成条項」(=地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティの形成)を単純に「削除」することを予定していました。
しかし、その情報が公表されたところ、大規模マンションの管理組合や管理会社などを中心にかなり強い批判を受けたため、今回の「再整理」という取扱いに至ったようです。
一般的に「コミュニティ」とは、管理組合以外に自治会(町内会)活動も含まれますが、自治会への参加は管理組合と違ってあくまで個人の「任意」によるものです。
ところが、管理組合の中には、管理費の中に自治会費相当分が含まれ、事実上強制的に組合員から徴収しているケースも見られます。
こうした取扱いの曖昧さが高じ、区分所有者間で意見の相違や訴訟等の争いも実際に起きています。
このようなリスクを回避する観点から、「コミュニティ形成」に関する業務を見直し、管理費から支出できる業務とその支出が適切でない業務とを峻別すべきだという視点から今回見直しがなされたと言うわけです。
結果的には、これまで「コミュニティ形成」と大まかに表現していた箇所を「防犯・防災、美化・清掃」に表現を改め、従来どおり管理組合のコミュニティ的活動を実質的に維持できるように配慮されました。
標準管理規約の改正の主なポイントは以上のとおりです。もっと詳細を知りたいという方は、下記のサイトから確認してみてください。
◆報道発表資料:「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」の改正について – 国土交通省
なお、今月開催のセミナーでもこのテーマを取り上げて解説します。
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