マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
3月26日付の「まぐまぐニュース」で、「管理組合が火災保険の「付保割合」を知らないマンションは危険」と題した記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下の通りです。
■ お金がないのに、30年以上も付保割合100%の保険をかけ続けているマンションが多い。
■ 付保割合とは、建物評価額に対する保険金額の割合のこと。
■ 管理組合が共用部分の火災保険を掛ける場合、鉄筋コンクリート造のマンションで火災やガス爆発があったとして修復に満額必要になると考えにくいので、付保割合を30%~60%ぐらいに設定しているケースが多い。
■ しかし、保険契約の情報として、総会議案書にその付保割合が記載されていない場合がある。
■ たいていの場合、管理組合は管理会社が保険代理店になっている。管理会社は企業として売上・利益を上げるのが目的なので、あえて自分たちの売上を減らすような提案はしない。
■ 組合員に質問されて突っ込まれないよう、わざと付保割合を議案書に記載しないこともある。
■ 皆さんのマンションの火災保険(マンション総合保険)の付保割合は何%ですか?もし、知らないなら、議案書を見て確認するか理事に聞いてみるべき。
先日も都内の投資用マンション(築12年)の総会で、保険契約を更改する議案を上程しましたが、従前の契約は建物評価額(再取得価額)と保険金が同額でした。
つまり、本記事とまさに同じく、付保割合が100%のケースだったわけです。
もし従前と同条件で更改した場合には、
保険料(5年分の合計)が現状の57万円から69万円に上昇する見込みでした。
しかしながら、この付保割合を今回60%の適正水準に修正することにしたところ、保険料は逆に50万円を切る水準まで下げることができました。
言い換えれば、
これまで管理組合は10年以上にわたって過剰に保険料を支払ってきたわけです。
しかし、その「逆のケース」もみかけたことがあります。
都心のタワーマンションですが、付保割合が2割すら下回っていました。
その理由は定かではありませんが、なるべく保険料を低めにしたい事情があったと思われます。
ちなみに、
ご紹介した事例はいずれも保険代理店がそのマンションの管理会社です。
これに関連して、さらに少々厄介な事例もありました。
それは、建物評価額(再取得価額)が保険会社の定める規定の範囲を下回っているというものです。
この建物評価額とは、
建築費単価にマンションの延床面積を乗じたものです。
(設定される建築費単価は各保険会社によって異なるようです。)
それでは、この建物評価額が規定の水準に満たないとどうなるのでしょうか?
たとえば、下記のような保険契約があるとします。
■ 現在の建物評価額: 1億8,000万円 (保険証券に記載されている金額)
■ 適正な建物評価額: 2億4,000万円 (保険会社の規定にもとづく下限)
■ 保険金額 : 1億8,000万円 (付保割合 100%)
本来2億4,000万円の資産価値を有するにもかかわらず、過小な金額(現在:1億8,000万円)で設定すると、保険料は過小な再取得価格のテーブルで算定されるため、保険料も本来に比べて安くなります。
ただし、本来の建物価値(2.4億円)に対して実際の契約では1.8億円と過少評価されているために、火災等によって建物が全壊・全損した場合の支払保険金は下記の通り減額されてしまいます。
全損の場合の保険金 = 1億8,000万円×(1.8/2.4)=1億3,500万円
つまり、保険証券上は「付保割合100%」と判断できるのでの過剰な保険金額が設定されているかのように見えますが、実はそうではなかったことがわかります。
ただ、建物評価額(再取得価額)の設定が規定範囲内かどうかは保険証券を見ても判別できないため、保険代理店などの専門家でないと診断できないのが実情です。
現状では保険代理店も管理会社が兼ねている場合がほとんどですが、管理組合としてはこうしたリスクを回避するために、セカンドオピニオンとして他の保険代理店からも相見積もりを取得して契約の設定条件や補償内容が適正か、確認されることをお勧めします。
<参考記事>
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