マンションの寿命の長さは、それを支える人材で決まる!

昨日、マンション管理適正化診断のために、都区部にある高経年マンションに伺いました。

最寄りの地下鉄の駅から徒歩5分もかからず、ロケーションは最高です。

このマンション、今年でなんと築51年目を迎えるとのこと

これまで私が携わってきた中でも、突出して古い物件です。

しかしながら、新築当初から管理会社を介さずに、一貫して「自主管理」でやってこられたそうです。

このマンションには住込みの管理人さんがいて、管理費の請求・出納会計も管理人にサポートしてもらいながらマネジメントしてきたのこと。

こちらの理事長さんは30数年にわたって務めてこられ、年齢もすでに70歳を超えていらっしゃいますが、昨年は外壁補修と屋上防水といった大きな仕事も無事完了されています。

これまでの実績から、建物などのハードウェアについてはなお持続性はありそうですが、理事長さんが目下抱えている最大の悩みは管理組合の運営の問題です。

住込みの管理人さんが病気のため昨年末から業務ができなくなってしまったので、業務の負担が高齢の理事長さんにすべてかかってしまっているのです。

「3ヶ月間何とかやってきたけど、このままではもたない……」とおっしゃっていました。

全体の約3割を占める外部所有者を含め、全50世帯への管理費の請求管理を行うのが精一杯で、理事会の運営までは手が回らず、最近は開催していないようです。

管理費の滞納は以前に比べて減ったようですが、一部長期の滞納もあります。

決算書や、総会議案書やその議事録、修繕工事や設備の保守点検の報告書といった書類も整理されていないので、探しだすのも一苦労です。

高経年マンションでは、建物・設備の老朽化対策とそのための資金繰りが大きな課題となるのはもちろんですが、居住者の高齢化や外部所有者の増加に伴う管理組合のマネジメント力の低下の方がより深刻な問題だと言えます。

今後老朽化マンションの増加に伴い、このような悩みを抱える管理組合が珍しくなるのは間違いありません。

そして、こうした問題の解決に携わっていくこともマンション管理士としての本懐です。

 

<参考記事>

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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