マンション管理会社の「満足度ランキング」の意義とは何だろうか?

スタイルアクト株式会社が、自社サイト会員のマンション購入済みの入居者などを対象に実施した管理状況に関する満足度調査の結果をリリースしています。

公表サイトのページによると、結果の概要は以下の通りです。

■ 有効回答数

2,083 (サンプル数20件以上の管理会社をランキング対象)

■ 調査項目
管理人、管理会社、管理費・修繕 、生活サービス、全体満足度、推奨度の大きく6項目を評価対象とし、ランキングについては、<総合満足度>(全体満足度と推奨度の平均値)にもとづいてから評価。

■ ランキング結果

野村不動産パートナーズ:全体満足度 1位(8年連続)
※管理戸数10万戸未満のグループでは、伊藤忠アーバンコミュニティが1位

 

このランキング表と解説を読んで感じたことを率直にコメントします。

(1)ランキング公表の目的は何だろう?

ランキングを見ると、野村以下、住友、三井など有名デベロッパーの系列会社が上位に並んでいます。

今年で8回目を迎えるようですが、毎年ほぼ同じ顔ぶれと順位です。(今回は三菱が合併の影響で順位を落としていますが、実質的には4位)

主催者が何を意図してこのリストを毎年更新しているかの説明はありませんが、私には、「大手デベロッパーの管理会社が総じて上位なので安心ですよ」というメッセージを発信しているようにしか感じません。

 

(2)各社の満足度が総じて低いのは問題にしないのだろうか?

ランキング結果を見ると、満足度が数値化されています。たとえば、1位の野村は71.7、2位の住友は69.6、3位の三井は69.4・・といった具合です。

調査項目によっては、90近いポイントもついているので、多分満点は100なのだろうと推測しますが、一般的な合格点を70点以上と考えた場合、1位の野村以外は合格点にすら達していないのではないかと思ってしまいます。

芸能人が文化教養力? を競い合うTV番組の「プレバト」に例えると、「才能あり」は1位だけで、あとは凡人以下……みたいな印象です。

 

(3)理事未経験者が評価してどれだけ意味があるのだろうか?

サイトの解説を読むと、回答者を「理事経験者」と「理事未経験者」に分けて、回答結果に違いを説明しています。

そして、「未経験者は表面的な要素(管理費が安い、大手管理会社である、など)で判断する人の割合が高い」という解説もなされています。

さらに、管理会社に求める要素の中で最も重視する項目として、理事経験者の約3割が「フロント担当者の優秀さ」と「最低限の業務遂行」を選択していますが、理事未経験者は16%しか選択していません。

しかし、サイトページを読み進めると、「理事経験者だけによる満足度ランキング」も別途公開していることが分かりました。

それによると、伊藤忠が1位に上昇する一方で、野村は2位、住友は6位、三井は8位にそれぞれ下がってしまいます。その結果、上で公表しているランキング結果とはかなり様相が変わるのです

 

満足度の評価ポイントの構成要素としてどこに比重を置いているかが分からないので、これ以上突っ込むのは困難ですが、理事経験者の回答数を重視して調査する方がより実態に即した管理会社の評価につながるのではないでしょうか。

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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