新築マンションの「ひび割れ」は心配の必要なし!?

「マンションの壁や手摺(てすり)にひびが入っているけど大丈夫ですか?」

と、入居後の定期点検の場合に入居者の方から言われることが有りますが、9割以上の確率で「構造的に問題に有りません」と答えています。それは、マンションの殆どが鉄筋コンクリート造であり、コンクリート特有の「乾燥収縮」の影響であると言えるからです。

 

どんなコンクリート構造物でも生じる「乾燥収縮」

コンクリートの成分は大きく分けて「セメント」「骨材(石や砂)」「水」の3つで成り立っています。そして、それぞれの配合比率や「添加剤」を使用することにより、50階建てのタワーマンションから1階建ての建物まで、様々な用途に合わせた強度を作ることが出来るのです。

そして、コンクリートを実際に打設(型枠にコンクリートを流しこむ状態)した後に、固まって、更に強度が出るまでに発熱などを起こして段々とコンクリート中の水分が抜けていきます。一般的には、コンクリート中の水分が抜けるには2~3年かかると言われているくらいなのです。

つまり、コンクリート中の水分が抜けた分だけ「収縮」してしまうのが「乾燥収縮」なのです。実は全てのコンクリート構造物で乾燥収縮が起こっているのです。

 

どこに「ひび」が生じるのか、に注目

しかし、乾燥収縮による「ひび」は、一般的なマンションでは、「バルコニー」や「外壁」に多く発生していますが、構造上重要な「柱」や「梁」などには、滅多に見ることは有りません

それが、私が「9割以上の確率で構造上問題ない」と言う大きな理由なのです。

でも、バルコニーや外壁に関する「ひび」が、全く無害であるか?というとそうでは有りません。「漏水」や「エフロレッセンス」と呼ばれる美観上の問題を引き起こします。

そこで、私達のような建築に携わる人間は、「ひび」が起こる位置を制御しようとしています。具体的には一定間隔で敢えて弱い部分を作り出すことにより「ひび」を「誘発」させているのです。

もしもみなさんのお住まいが鉄筋コンクリート造であれば、手摺に一定間隔で「シーリング」と呼ばれるゴム状になっている線があると思います。そこに「ひびを誘発」をして漏水などの不具合を防ごうとしているのです。

しかし、現実的には「ひび」の誘発というものは100%狙った位置に来るというものではないので、狙った位置ではない場所にきた「ひび」を、入居者さんが見つけて「大丈夫か?」と不安になってしまうのが、マンションで見られる9割の「ひび」の実態なのです。

 


T.M

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投稿者プロフィール

建築現場の現場監督。会社に入ってもう15年、現場の裏側もいっぱい見てきました。プライベートでは転勤に次ぐ転勤で結婚して8年で6回引越しした後に新築マンションを購入。建築現場のプロとして、また現役のマンションユーザーとして、マンション関係の話題について「本音」を交えてお伝えしています。Blog

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