マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
昨年からの「横浜の傾いたマンション」における杭の偽装問題の再発防止策として、施工者・工事監理者の全数立会、更には第3者の立会を求めるという再発防止策を打ち出しました。
が、実際には、今回のマンションのような事例は極めてレアケースであり、偽装問題のほとんどは解決しないと思います。
なぜなら、杭の偽装問題の実態とは、「ちゃんと施工していたけどデータが取れていなかった」という事実にあるからです。
つまり、杭打ちの検証データが何らかのトラブルにより取得できなかった場合に、確実に杭が打たれた事実をどのように証明するのかが求められているのです。
今回の再発防止策には、大きく2つの問題点があります。
1つは、施工者、工事監理者が全数立会した場合に、「どこまで中立になり得るのか?」という懸念が残るということです。
具体的には、これまでは通常工事監理者の立会いの対象は「試験杭のみ」もしくは「杭全体の5%程度」でした。だから、「たまに現場に来て抜き打ちチェックする」からこそ、逆に施工側に良い意味の緊張感が生まれ、面子を保つためにも良い施工をしようという意識がありました。
しかし、全数チェックとなると施工者と監理者の関係が接近しすぎてしまい、「慣れ合い」の関係にならないかという新たな疑念が生まれます。お互いの立場を考えるあまりにお互いを庇いあって、逆に偽装を隠蔽するような「空気」が生まれないかが気がかりです。
もう一つの問題は、何らかトラブルが起こった時に、誰が責任を取れるのかが明確ではない、という点です。
例えば、交通違反を警察官が見つけた場合に、「現認」という方法が取られます。本当にやったかどうか確証がない場合でも、「警察官が自らの目で確認した事は間違っていない」という理屈が成立しているからです。
では、杭の施工中にデータが取られていなかった場合は、誰が「現認者」となりうるのでしょうか? 全数立ち会っている工事監理者が「間違いない」と印鑑を押して証明すれば良いのでしょうか? それとも、任意で立会いにくる「第三者機関」が証明するのでしょうか?
結局、どこの誰を「正しい倫理観を持つ現認者」と位置付けるかによって、今後の管理方法は大きく変わってくるはずです。
元来、杭工事とは、地中深くの全く見ることの出来ない部位の施工であるがゆえに、互いの信頼関係に拠って立つ部分が大きかったものです。それが、今回の一件でその「信頼」が根底から覆されたために、「最終的に誰を信用するべきか?」というきわめて困難な問いに直面していることが最大の問題だと言えます。
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