マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
5月5日付けの朝日新聞に「一括受電 自由化で難題」という記事が掲載され、私の意見も取り上げられています。
この記事を要約すると、以下のようになります。
1)マンション全体で電力を「まとめ買い」することで「貯金」ができる手法として「高圧一括受電」を導入する事例が増えている。
2)一括受電は最近の5年間で5倍以上増え、昨年時点で約58万戸が導入している。
3)ただ、この4月から「電力小売りの全面自由化」で各家庭が電力会社を自由に選ぶことが可能になり、ユーザーにとっては再生可能エネルギーや他サービスとの「セット販売」など選択肢が増えた。
4)一括受電の契約変更では、管理組合での決議に加え、変更前の電力会社が電気事業法での供給義務などを理由に、全住戸分の同意書の提出を必ず要求する。
5)そのため、管理組合内の合意形成が難しくなり、一括受電への切り替えが厳しくなりそうである。
私が受けた取材で提起した意見は、上の4)に関する部分です。
マンション管理組合の意思決定の中で最も厳しい条件が課されているのは、老朽化した建物の建替えです。
建替えの場合、区分所有者全体の5分の4以上の賛成が必要です。つまり、全体の8割の賛成があれば建替えは可能ということです。
一方、一括受電の導入は、建替えのような「特別決議事項」に該当しないので、原則として通常の議案と同様に「過半数の賛成」で決議ができます。
しかし、電気事業法の定めにもとづき、電力会社から全戸分の同意書提出を要求され、それができないと一括受電が実現できないというハードルがあるのです。
つまり、区分所有法に則った管理組合の意思決定は賛成多数で容認されているのに、電気事業法との兼ね合いで全戸分の同意書がないと認められず実現ができない、というわけです。
これはいかにも縦割り行政の弊害によるもので、理不尽ではないか? と思っています。
ただこの背景には、現実的な問題として「地域電力会社の事情」もあるように思います。
なぜなら、一括受電の導入が増えるほど売上や利益に少なからず影響がありますから。
そう考えると、「電力の自由化」って一体何なの? という本質的な問題になるのですが……。
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