マンションの民泊対策で後手に回る国交省の対応

10月27日付の朝日新聞で、分譲マンションにおける「民泊」の普及への対応として、国土交通省がマンションの管理規約に民泊の受け入れの可否を明示するよう促すことを決めた、という記事が出ています。

www.asahi.com今後、国交省が管理規約の改正案を作成し、業界団体などに通知するとのことです。

また同じ日の毎日新聞では、「東京・新宿区が、旅館業法の許可を得ていない違法な民泊への対策に取り組むべく、住民や不動産団体、警察署などによる検討会議をつくり、独自ルールとして条例案をまとめようとしている」との記事が掲載されています。

なお、正式に合法と認められている民泊は、現時点では以下の2つしかありません。

①旅館業法に定める「簡易宿泊所」(住居専用地域内では不可)

②政府が「国家戦略特区」として定めた特定地域(大田区、大阪府大東市など4市)

ただ、民泊に対する管理組合の懸念とは、それが違法か合法かという問題ではないでしょう。

具体的には、民泊の普及によって騒音やゴミ出しのマナー等に関する宿泊客とのトラブルが発生したり、本来共用施設である「ゲストルーム」が悪用されて他の住人が不利益を蒙る、といった事態を未然に防ぐことがとても重要なのだと思います。

もちろん、ワンルームマンションなど賃貸によって資産運用を図りたいと考える人もいるでしょうから、管理組合の意思として民泊を容認するのかどうかはある意味「価値観の問題」でしょう

とは言え、国交省の「標準管理規約」をはじめ、現在ほとんどのマンションの規約で定められている専有住戸の用途制限条項(=「もっぱら住宅として使用する」)では、民泊に対する賛否の意思がグレーだと判断されてしまうことに最大の問題があります

この「専ら住宅条項」に関連するリスクとして、近年シェアハウスやグループホームのような新たな業態も登場し、民泊と同様のトラブルが発生しています。

そのため、意識の高い管理組合では、こうした実例がまだなくても、少しでも予防効果を上げようと規約の改正を実施しているケースもすでに複数あります。

もちろん、規約改正で民泊等の活用禁止を明示したとしても、確信犯的な事例が出ることも十分あり得るでしょう。しかし、何も手を打たないよりは、はるかにマシです。

ここで問題としたいのは、これまでの国交省の緩慢な対応です。

国交省も当然こうしたリスクを認識していたはずなのに、今年3月に発表した「改正標準管理規約」では上記の「専ら住宅条項」について何も見直されなかったのです

その辺の事情がちょっと腑に落ちません。

景気を浮揚させるために政府が「肝いり」で進める規制緩和策に対して国交省が水を差すのを恐れたからではないのか、と訝りたくなります。


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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