新築マンション内覧会でチェックすべきポイントとコツ

新築マンションの内覧会。それは、購入した部屋と初めて対面できる場面。同時に、部屋がきちんと仕上げられているか自分の目でチェックを行う瞬間でもあります。その際、自分の購入した部屋が丁寧に仕上げられたかどうかを判断するコツがあります。

そこで今回は、普段は建設会社の人間としてマンションの内覧会で購入者を迎える立場である筆者が必ず確認しているチェック・ポイントをお伝えします。

ユーザーからの指摘

まず、今まで幾度となくマンションの内覧会に立ち会ってきた経験から、実際にユーザーから指摘される項目に見られるある傾向について。

それは、「表面に見えるもの」についての指摘が圧倒的に多いという事実。具体的には…

・クロスの傷
・キッチンの汚れ
・フローリングの凹み

など。

確かに、目で見てわかりやすいので指摘としてあげられやすいのは理解できます。しかし、専門的な立場からするとそれらは「たいしたことのない指摘」に分類されます。

というのも、それらの指摘事項は補修、張り替え・直しが比較的簡単ですし、部屋の見た目を良くするためには表面上を取り繕うのが最も簡単だから。

例えるなら、女の人の「化粧直し」をする程度の問題。「化粧直し」で済むならそれほど簡単なことはないですよね。トイレで5分もあれば元通りになってしまう。

内覧会の際には、「表面だけの指摘」では非常にもったいないんです。「本当に大切なのは他にもある」と常日頃から感じています。化粧の指摘をしているだけなら、物事の本質を見ていないことになってしまいます。

建築会社の「姿勢」をしっかり見よう

先般マンションの品質問題の裏側にあるのは、「工期(建設する期間)」「コスト」「作業員」の不足によるものと報道されていることが多いですが、これはあながち間違っていないと思います。むしろ、物件によっては本当に該当していると言えます。

最後はバタバタと仕上げてしまって満足に検査をする期間もないままに内覧会の日を迎えてしまった物件もきっとあることでしょう。

ですから、この先何十年も暮らしていくためにチェックすべきポイントとして本当に大切なのは、表面上には見えにくい、マンションを造っていく建築会社の姿勢ではないかと感じます。

しかし、建築のプロでもないユーザーがたった1度の内覧会で本質にせまった「建築会社の姿勢」を指摘をすることは、実際には非常に難しいでしょう。「裏側を見たい」と言ってせっかく仕上がったマンションを壊して確認することも出来ません

結局、全てが仕上がった、言わば「化粧がほどこされた」状態で内覧会を迎えるしかないというのが現状です。

でも、実は素人でも建築会社の姿勢を見抜くことができる、マンションの中に幾つか存在する「裏側の状況」を知るコツが存在するんです。

その1 下駄箱の下側の空間

まずは、玄関にて。下足箱が地面から浮いて取り付いている場合、覗きこまないと見えない下駄箱の下側の空間をチェックしましょう。

20151207pic01

いきなり覗き込んでチェックをするという行為に抵抗があるかもしれませんが、あなたの本気度を相手に見せるには効果的な手法です。

筆者のような建設会社の担当者という逆の立場からすれば、下駄箱の下をいきなり覗き込んでチェックをされると確実に驚きますし、同時に身構えてしまうものです。「あっ、この人本気モードだ」と感じる瞬間です。

覗きこまないと見えない所をチェックすると効果的である理由は、時間がなくてチェックが行き届いていない場合は、取り敢えずパッと目につくところから補修をしたり、さらには、目につかない所はチェックさえも行う余裕もないことがあるから。

意識しないと見えない部分をチェックすることにより、その物件はしっかり検査が行き届いているのか? という業者側の姿勢を判断する助けになります。

その2 ユニットバス

ユニットバスのエプロンと呼ばれる浴槽の横のパネルの裏側と、天井の点検口と呼ばれる蓋の裏側

この2つは、建設会社の人に見せて欲しいと頼めば大抵見ることが出来るはず。もしも、拒まれたらかなり怪しいです。とても見せることが出来ない状態かもしれません。

20151207pic02

「実際に見ても何が問題なのかわからない」という方もいらっしゃると思いますが、確かに専門的なことは分からなくても、パッと見て「綺麗か?」ぐらいは分かるでしょう。

基準はあなたの感性で全然OK。

見えない部分が「綺麗」と感じるほど丁寧に仕上げてあれば、ひとまず安心して他の箇所をチェックしましょう。例えるなら、丁度、素肌のスキンケアまでメンテナンスが行き届いている状態です。ボロボロの素肌に化粧を塗りたくっているのとは明らかに違いますよね。数年後を想像すると、ゾッとするくらいの違いになるかもしれません。

§

新築マンションの内覧会で心掛けるべきなのは「表面上の指摘」ではなく、本当にチェックしてほしいポイントは、意識しないと見えない所まで綺麗に仕上がっているかどうか、ということ。見えない所というのは建設会社のマンションを仕上げる姿勢が顕著に現れる場所だからです。

・下足箱の下側の空間
・ユニットバスのエプロン
・ユニットバスの天井の裏側

と具体的な3つの場所をチェックすることで、「裏側まで本気でチェックする」という姿勢を敢えて見せることになり、仕上がりに要注意な部屋とみなされて、他の指摘事項も丁寧に直してくれる可能性が非常に高くなります。筆者も業界の立場から同じ行動で建築業者にプレッシャーを与えることもあります。

ユーザー側も同様にすることで「このお客さんは勉強してるぞ?」ということになると思いますので、ぜひ実践してみてください。


T.M

T.M

投稿者プロフィール

建築現場の現場監督。会社に入ってもう15年、現場の裏側もいっぱい見てきました。プライベートでは転勤に次ぐ転勤で結婚して8年で6回引越しした後に新築マンションを購入。建築現場のプロとして、また現役のマンションユーザーとして、マンション関係の話題について「本音」を交えてお伝えしています。Blog

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 2015年 12月 08日

セミナー案内

  1. 登録されている記事はございません。

イロドリストなブロガーたち

ページ上部へ戻る