「家賃並みの負担」という宣伝文句でマンションを購入しても大丈夫!?

大都市圏ではマンション価格の上昇も目立ってきていますが、それと同時に住宅ローンの超低金利化がさらに進んでいます。金融機関同士の「顧客獲得競争」もあり、審査に落ちるような状態でないかぎり、マンションを買いやすい状況だといえるでしょう。

そのため、不動産会社の広告では「家賃並みの負担で買える!」と購入意欲を煽るケースも少なくありませんが、はたしてそれでよいのでしょうか。

 

マンション購入後には負担が増える

マンションを購入する際に住宅ローンを借りれば、当然ながらそれを返済していくことになりますが、毎月の返済額がそれまで支払っていた家賃と同じくらいなら、無理なく買うことができそうです。しかし、購入に伴う諸費用だけでなく、購入によって新たに生じる負担を忘れてはいけません。

まず、マンションの場合には毎月、管理費修繕積立金を支払うことになります。それ以外に一定の設備使用料などがかかる場合もあるでしょう。さらに、マンションを「所有」することによって毎年、固定資産税および都市計画税の負担義務も生じます。

ちなみに、新築マンションの固定資産税は新たに課税される年度から5年にわたり軽減されますが、6年目以降は本来の税額に戻ります。

たとえば次のようなケースを考えてみましょう。

【従来の住まい】
□ 家賃 120,000円/月
□ 共益費  5,000円/月
□ 更新料 120,000円(2年に1回)

【購入するマンション】
□ 住宅ローン返済 120,000円/月(ボーナス返済なし)
□ 管理費 20,000円/月
□ 修繕積立金 10,000円/月
□ 固定資産税と都市計画税 180,000円/年

この例では、従来の家賃と購入後の住宅ローン返済が同じ120,000円でも、購入後の毎月の負担は25,000円増えることになります。これに(購入後の)固定資産税と都市計画税の負担を加え、(従来の)2年ごとの更新料を差し引けば、2年間の負担は840,000円増えます。

つまり、それだけの余裕がなければ、たとえ「家賃並みの住宅ローン」でも生活を圧迫することになりかねません。購入前の住居費負担をそのままの水準で維持しようとすれば、(上の例では)家賃よりも毎月35,000円低い住宅ローンの返済額に抑えなければならないでしょう。

さらに、生命保険料火災保険料地震保険料など、賃貸のときより保険料の負担が増えることも考えなければなりません。

「家賃並みの負担」を考えるときには、従来の家賃と住宅ローンの返済額”だけ”を比べてはいけないのです。

 

想定外の出費に備えた資金計画も必要

マンションでは15年前後の一定周期ごとに大規模修繕工事が実施されます。その負担に備えるための費用が毎月の修繕積立金ですが、積立額が不足するために1戸あたり数十万円、場合によっては百万円を超えるような臨時徴収が行われることもあります。

これは通常、各戸の所有期間に関わりなく、均等もしくは持分に比例した割合で徴収されるものですから、中古マンションを購入してすぐに負担を求められる場合もあるでしょう。購入前の段階で、大規模修繕工事の計画内容などをしっかりと確認しておくことが欠かせません。

また、賃貸の場合であれば大家さんが負担してくれた、経年劣化による設備の交換費用や修理費用なども、マンションを購入すれば自ら負担することになります。室内のリフォーム工事や壁紙の貼り替え、補修など室内の手入れに要する費用ももちろん所有者の負担です。

これらの負担に備えた積立も必要ですから、「住宅ローンの返済額+管理費+修繕積立金+固定資産税+修繕積立金+保険料+その他の毎月かかる費用+将来の出費に備えた積立」を総合的に考えたうえで、家族の生活に支障がないように資金計画を立てることが大切です。

 


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平野 雅之

平野 雅之

不動産コンサルタント会社リックスブレイン代表・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター。東京・神奈川を中心に20年以上にわたり不動産売買取引の仲介業務に従事。豊富な実務経験をもとに、現実に即した実践的なアドバイスなどを一般消費者向けに提供しています。総合情報サイトAll Aboutで「不動産売買」のガイドを務めるほか、HOME’S、Yahoo!不動産など数多くのメディアで情報を発信。不動産購入、売却などに関するセミナー講師も担当しています。

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